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2026/09/06

2026年6月施行の改正旅館業法で「1室から旅館業」参入が解禁!マンションオーナーが知るべき管理組合との関係と落とし穴

2026年6月施行の改正旅館業法で「1室から旅館業」参入が解禁!マンションオーナーが知るべき管理組合との関係と落とし穴

2026年6月15日、改正旅館業法が施行されました。最大の変更点は、ホテル営業に最低10室・旅館営業に最低5室と定められていた客室数の最低基準が撤廃され、1室から旅館・ホテル営業の許可取得が可能になったことです。この改正により「マンションの一室でも旅館業の許可が取れる」という時代が正式に始まりました。しかしこれは同時に、マンションオーナーと管理組合の間に新たな緊張関係をもたらす改正でもあります。今回は、マンションで宿泊事業への参入を検討している区分所有者が必ず知っておくべき法律の構造と、管理組合との関係について詳しく解説します。

2026年6月改正旅館業法の主要変更点を整理する

まず今回の改正の内容を正確に把握することが出発点です。

2026年6月15日、改正旅館業法が施行された。最大の変更点は、ホテル営業に最低10室・旅館営業に最低5室と定められていた客室数の最低基準が撤廃され、1室から旅館・ホテル営業の許可取得が可能になったことだ。あわせて床面積要件の緩和(1室7㎡以上、ベッド設置時は9㎡以上)、フロント(玄関帳場)の条件付き未設置容認、ICTを活用した本人確認の正式追加も盛り込まれた。

2026年6月施行の改正旅館業法で「1室から旅館業」参入が解禁!マンションオーナーが知るべき管理組合との関係と落とし穴

この4点の変更を一つ一つ理解します。

①客室数の最低基準撤廃

これが今回の改正の核心です。従来はホテル営業に10室以上、旅館営業に5室以上が必要でしたが、この基準が完全に撤廃されました。京都の町家1棟、伊豆の古民家ヴィラ1棟、沖縄離島のコテージ1棟が、簡易宿所ではなく「旅館・ホテル」として営業許可を取得できるようになったのと同様に、マンションの1室でも旅館・ホテル営業の許可申請が可能になりました。

②床面積要件の緩和

1室7㎡以上(ベッド設置時は9㎡以上)という基準になりました。昔は「客室が33㎡以上ないとダメ」という厳しいルールがありましたが、今は「3.3㎡×宿泊者数」でOKに変わりました。例えば3名定員なら約10㎡でクリアできるため、ワンルームマンションでも旅館業許可が現実的になりました。

③フロント(玄関帳場)の条件付き未設置容認

旅館業といえば対面フロントが必須というイメージがありましたが、今はスマートロックやタブレット端末での本人確認が正式に認められています。つまり、合法的に「無人運営・遠隔管理」ができるようになったのです。

④ICTを活用した本人確認の正式追加

対面でのパスポート確認だけでなく、オンラインでの身分確認・顔認証などICTを活用した方法が正式に認められました。無人チェックインとの組み合わせで、遠隔地からの物件管理が完全に合法化されます。

2026年6月施行の改正旅館業法で「1室から旅館業」参入が解禁!マンションオーナーが知るべき管理組合との関係と落とし穴
民泊新法との決定的な違い―180日制限からの解放

旅館業法改正で最も注目すべき点は、住宅宿泊事業(いわゆる民泊)を定める住宅宿泊事業法(民泊新法)では、年間営業日数が180日以内に制限されている。今回の改正旅館業法への移行で最も注目される点は、この180日制限から完全に切り離された365日通年営業が法令上明確化される点です。

民泊新法と旅館業法の違いを整理すると以下のようになります。

民泊新法(住宅宿泊事業法)は「届出制」で参入障壁が低く手続きが簡単な一方、年間180日の営業日数制限があり、収益に天井が生まれます。民泊新法は「住宅」を前提としているため、建築基準法上の用途変更が不要で参入障壁が低い一方、180日制限により年間売上の上限が構造的に決まります。

旅館業法は「許可制」で保健所への申請と審査が必要ですが、営業日数の制限がなく通年365日の営業が可能です。年間180日の上限により稼働率が頭打ちになっている、物件の立地・設備が旅館業の構造基準を満たしている、フロント設置義務の緩和により無人・省人運営のハードルが下がるという条件に該当する場合は、民泊新法から旅館業法(簡易宿所営業)への切替えを検討する価値があります。

問題の核心:マンションの管理規約との衝突

ここからが、マンションオーナーにとって最も重要な論点です。旅館業法の改正で1室からの参入が可能になっても、マンションには「管理規約」という別次元のルールが存在します。

国土交通省は民泊新法施行に合わせてマンション標準管理規約を改正し、民泊禁止条項の例を公表しています。典型的な禁止条項の例として「区分所有者は、その専有部分を専ら住居として使用するものとし、他の用途に供してはならない」という記述に加え「住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行ってはならない」「旅館業法第3条第1項の許可を受けて旅館業を行ってはならない」と明確に追記されているケースが増えています。

つまり管理規約には2つのパターンが存在します。

パターンA:民泊新法・旅館業法の両方を禁止

「旅館業法の許可を受けた営業も禁止する」と明記されている場合、2026年の法改正で旅館業法の参入障壁が下がっても、その物件では旅館業営業もできません。

パターンB:民泊新法のみを禁止(旅館業法は記載なし)

2018年の民泊新法施行後に管理規約を改正したマンションの一部に「住宅宿泊事業法に基づく届出を行う事業のみ禁止」という条項のみのケースがあります。この場合、旅館業法に基づく許可を取得した営業は文言上は禁止されていないというグレーゾーンが生まれます。

ただしこのグレーゾーンに飛び込むことは非常にリスクが高いことを強調します。管理規約に旅館業法の記載がなくても、「専ら住居として使用する」という用途制限条項が多くのマンションに存在します。旅館業としての使用がこの条項に違反すると解釈される可能性があり、管理組合との深刻なトラブルに発展する可能性があります。

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管理規約の確認方法と確認すべきポイント

マンションで宿泊事業を検討する前に、必ず管理規約を確認します。まず確認すべきは、マンションの管理規約です。多くの場合は、「専有部分の用途」について定めた条項に記載があります。具体的には、「住宅宿泊事業」や「旅館業法に基づく許可を受けた営業」といったキーワードを探します。

確認すべき条項は以下の通りです。専有部分の用途制限(「専ら住居として使用する」等の文言の有無)、住宅宿泊事業法に関する明示的な禁止・許容の規定、旅館業法に関する明示的な禁止・許容の規定、「民泊に関する事項」として別途定められた細則の有無です。

築年数の古いマンションや、規約改定が行われていない物件では、民泊に関する記述が全く見当たらないケースもあります。その場合は、「住居専用」という文言がどのように解釈されるかが争点となりますが、現状ではトラブルを避けるために「記載がない=グレー(要確認)」と捉えるのが安全です。

管理規約の解釈に迷う場合は、管理組合・管理会社に直接確認することが唯一の安全な方法です。「管理規約に書いていないからOK」という判断で営業を開始し、後から管理組合から停止を求められるケースは後を絶ちません。

管理組合側の対応強化:旅館業法改正を踏まえた規約見直しの動き

2026年の改正旅館業法施行を受けて、管理組合側も規約の見直しに動く動きが出ています。これまで「住宅宿泊事業法のみ禁止」としていた管理規約を「旅館業法による営業も禁止」に改正する管理組合が増えることが予想されます。

区分所有法において、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数によって管理規約の変更が可能となりますが、住宅宿泊事業が規約の変更前に開始されてしまうと、区分所有法第31条第1項により、規約変更が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、その承諾を得なければならないと定められていますので注意が必要です。

つまり、管理規約の改正前に旅館業の営業を開始してしまうと、その後の規約改正にその区分所有者の承諾が必要になるという複雑な法律関係が生まれます。これは営業を開始した後に管理組合と対立関係に入ることを意味し、マンションでの長期にわたる生活・資産価値の維持にとって極めて不利な状況です。

また2026年4月施行の区分所有法改正により、管理組合の権限が強化される予定です。違法民泊への対応がより迅速になることが期待されています。管理組合の権限強化という流れの中で、規約に違反した宿泊営業を行うことのリスクは従来より高まっています。

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旅館業法上の注意点:自治体の上乗せ条例に要注意

改正旅館業法による規制緩和が全国一律に適用されるわけではない点も重要な注意事項です。改正旅館業法の規制緩和は全国一律に自動適用されるわけではない点に注意が必要だ。自治体独自の上乗せ条例が存在する場合、改正法の要件を満たしていても追加的な制限が課されることがある。

新潟市においても、旅館業法の許可申請に際しては保健所(生活衛生課等)への事前相談が必要です。建物の用途地域・構造基準・消防設備の要件が満たされているかどうかについて、物件ごとに個別の確認が必要になります。

新潟市内のマンションで旅館業の許可を検討する場合は、管理規約の確認と並行して、新潟市保健所への事前相談を行うことを強く推奨します。保健所の担当者から「このマンションでは許可が下りる見込みがある」という見通しを確認したうえで、管理組合への相談・承認を求めるという順番が、無駄な労力を避けるうえで合理的です。

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戸建て・古民家での旅館業参入と比較した場合

マンションの1室での旅館業参入と、戸建て・古民家での旅館業参入を比較したとき、管理組合という制約がない後者の方が明らかに参入しやすい状況が続きます。

新潟県内では空き家となった古民家・農家住宅・元店舗で旅館業許可を取得し、180日制限のない通年営業の宿泊施設として再生するというモデルが、今回の法改正でさらに現実的な選択肢になりました。古民家や空き家を活用した「1〜3室の宿泊施設」が旅館業法の許可を取得することで、年間180日の日数制限がなくなり、安定した稼働設計が可能になる。特に温泉地や里山・観光農園エリアなど、訪日外国人旅行者や国内旅行者の需要が見込まれる地域では、新たな業態への転換機会となりうる。

マンションの1室での旅館業参入は、管理規約・管理組合・区分所有法という複数の制約をクリアする必要がある一方、戸建て・古民家での参入はこれらの制約がありません。宿泊事業への参入を検討している方は、マンション以外の物件での参入という選択肢も並行して検討することをおすすめします。

まとめ:「法律で可能」と「そのマンションで可能」は別の話

2026年6月の改正旅館業法で「1室から旅館業が可能」になったことは事実です。しかしそれは「旅館業法上の許可要件が緩和された」ということであり、「すべてのマンションで旅館業営業が可能になった」ということではありません。管理規約による制限・管理組合との関係・区分所有法の規定という複数の壁が、マンションの1室での旅館業参入には依然として立ちはだかっています。

「法律で可能→管理規約を確認→管理組合に相談・承認を得る→保健所に申請」という順番を守ることが、マンションでの宿泊事業参入でトラブルを避けるための唯一の正しい手順です。

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