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2026/08/14
空き家のままでは保険料が割高になる?「一般物件」扱いの火災保険と民泊・賃貸転用で解決する方法

今回は、空き家を所有している方が見落としがちな「火災保険」の問題について解説します。人が住んでいない空き家は、火災保険の契約において「住宅物件」ではなく「一般物件(店舗・事務所と同じ扱い)」に分類されることが多く、保険料が割高になる、あるいは新規引き受けを断られるケースがあります。この問題を知っているかどうかが、空き家の維持コストと活用判断に大きく影響します。

火災保険における「住宅物件」と「一般物件」の違い
火災保険の世界では、保険の対象となる建物を「住宅物件」と「一般物件」に大きく区分しています。この区分が保険料と引き受け条件に直接影響します。
住宅物件とは、専ら住居として使用される建物です。家族が実際に居住している一般の住宅がこれにあたり、火災保険の中で最もスタンダードな区分です。保険料は比較的リーズナブルで、各保険会社が競い合うように商品を提供しています。
一般物件とは、住居以外の用途に使用される建物、または住居と事業用途が混在する建物です。店舗・事務所・工場・倉庫などが一般物件の典型例ですが、ここで重要なのが「人が住んでいない空き家も一般物件に分類されることが多い」という事実です。
なぜ空き家が一般物件扱いになるのか。それは、火災保険の住宅物件区分の前提に「人が居住していること」があるからです。人が住んでいる住宅は、日常的に住人が火災の予兆を発見したり、異常に気付いたりすることができます。一方、誰も住んでいない空き家は、火災が発生しても発見が遅れやすく、延焼リスクが高いとみなされます。この「リスクの高さ」が、一般物件への分類と保険料の割高化につながるのです。

空き家の火災保険で起きる3つの問題
空き家を「空き家のまま」保有し続けることで、火災保険に関して以下の3つの問題が発生するリスクがあります。
問題①:保険料が割高になる
一般物件は住宅物件と比べて保険料が高くなります。建物の構造・所在地・保険金額によって差は異なりますが、同じ建物でも住宅物件から一般物件に区分が変わることで、保険料が1.5〜2倍以上になるケースもあります。空き家を長期間保有するほど、この保険料の差額は累積していきます。
問題②:新規引き受けを断られるケースがある
保険会社によっては、空き家状態の建物への火災保険の新規引き受けを断るケースがあります。既存の契約が更新タイミングで断られることもあり、その場合は引き受けてくれる保険会社を探す必要が生じます。引き受け先が限られると選択肢が狭まり、条件の悪い保険しか選べなくなる可能性があります。
問題③:告知義務違反のリスク
住宅として保険に加入していた建物が空き家になった場合、保険会社への告知が必要です。告知をしないまま空き家状態が続くと、保険事故が発生した際に保険金が支払われない「告知義務違反」になるリスクがあります。「住んでいないことを伝えると保険料が上がるから黙っておこう」という判断は、最も必要なときに保険が機能しないという最悪の結果につながりかねません。
空き家の火災保険問題を解決する2つの方向性
空き家の火災保険問題を解決する方法は大きく2つあります。

方向性①:空き家専用の火災保険に切り替える
近年、空き家・空き家管理に特化した火災保険商品が登場しています。空き家であることを前提とした保険設計で、一般物件の保険より合理的な保険料で加入できる場合があります。ただし補償内容や引き受け条件は保険会社によって大きく異なるため、専門の保険代理店に相談しながら比較検討することが重要です。
方向性②:空き家を活用して「住宅物件」または「事業用物件」として稼働させる
根本的な解決策は、空き家を活用して建物が「使われている状態」にすることです。賃貸住宅として入居者を募集すれば、住宅物件として火災保険に加入できる可能性があります。民泊として届け出を行い運営を開始すれば、民泊事業用の保険に切り替えることができます。「空き家のまま維持する」という選択が最もコストがかかるケースであり、活用することがコスト構造を改善する鍵になるのです。
民泊転用した場合の火災保険はどうなるか
空き家を民泊として転用した場合、火災保険の区分と必要な補償内容が変わります。民泊は不特定多数のゲストが出入りする事業用途のため、一般の住宅保険ではカバーできない補償が必要になります。

建物の火災保険
民泊として届け出を行った建物は、保険会社によっては「住宅物件」ではなく「一般物件(旅館・ホテル等)」として扱われるケースがあります。民泊の届け出をしたことを保険会社に告知し、適切な区分で契約し直すことが必要です。告知を怠ると前述と同様の告知義務違反になるリスクがあります。
賠償責任保険
民泊では、ゲストがケガをした場合や、ゲストが誤って引き起こした事故で第三者に損害を与えた場合の賠償責任リスクが発生します。住宅宿泊事業者には賠償責任保険への加入が努力義務として求められており、実務上は加入を強く推奨します。Airbnbなどの予約プラットフォームが提供するホスト保証制度も活用できますが、プラットフォームの補償範囲には限界があるため、独自の賠償責任保険との組み合わせが安心です。
家財・設備の保険
民泊に備え付けた家具・家電・寝具などの家財についても、補償範囲を確認しておく必要があります。ゲストによる破損・盗難への補償が含まれるかどうかは保険商品によって異なります。

賃貸転用した場合の火災保険
空き家を賃貸住宅として活用する場合、建物の火災保険はオーナーが加入する「家主向け火災保険(オーナー向け火災保険)」に切り替えるのが一般的です。入居者がいる住宅として稼働するため、空き家状態より保険の引き受け条件が改善されるケースが多く、補償内容と保険料のバランスが取りやすくなります。
家主向け火災保険には、建物の火災・自然災害補償に加えて、家賃収入の損失を補償する「家賃損失補償特約」を付帯できる商品もあります。空き家として放置するより、賃貸として稼働させた方が保険の選択肢が広がり、結果的に適正なコストでリスク管理ができるようになります。
空き家を活用するための第一歩はリペアと状態確認
空き家を民泊や賃貸として活用するためには、建物の状態を「使える状態」に整えることが前提です。長期間空き家だった建物は、見た目以上に傷みが進んでいることがあります。床の傷み・建具の建て付け不良・水回りの劣化・結露による窓台のシート剥がれなど、こうした症状はリペアによる部分補修で大幅にコストを抑えながら解決できます。
全面リフォームではなく、リペアで「使える状態」まで引き上げることで、活用開始までの初期投資を最小化しながら、保険・税務・維持コストの面でより有利な状態に移行できます。「空き家のまま維持するコスト」と「活用することで得られるメリット」を正確に比較することが、空き家オーナーにとっての正しい判断の基準です。

まとめ
空き家を「空き家のまま」保有し続けることは、固定資産税・維持管理費に加えて、火災保険の割高化・引き受け拒否・告知義務違反リスクという保険面でのコストとリスクも抱えることになります。この問題を解決する最も根本的な方法は、空き家を民泊や賃貸として活用し、建物が「使われている状態」にすることです。リペアによる低コストでの状態整備から活用開始まで、動き出すための手順は意外とシンプルです。
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