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2026/10/23
国交省の立入検査で35業者に是正指導?住宅宿泊管理業の「よくある違反」と、オーナーが委託先を選ぶときのチェックポイント

2026年5月、国土交通省が住宅宿泊管理業者への立入検査の結果を公表しました。2025年度に全国44の管理業者に立入検査を行い、そのうち35業者に法令違反が見つかり、是正指導が行われたという内容です。
住宅宿泊管理業者は、家主不在型の民泊で管理業務を担う、いわば民泊運営の要です。その管理業者の約8割で何らかの指摘があったという結果は、業界全体として重く受け止めるべきものだと感じています。
今回は、立入検査で指摘が多かった項目を整理し、管理業者が自らの体制を点検するためのポイントと、オーナーが委託先を選ぶときの確認ポイントをお伝えします。私たち㈱SATも住宅宿泊管理業者として、この結果を自分たちの業務を見直す材料にしています。
立入検査の結果の概要
国土交通省は、管理業者が法令を守って適正に業務を行っているかを確かめるため、2023年度から全国規模の立入検査を続けています。

2025年度は、全国の地方整備局などを通じて44業者に立入検査を行い、法令違反が認められた35業者に是正指導を行いました。なお、指導を受けた35業者すべてで是正が確認されています。
背景には、管理業者の急増があります。登録数は2024年3月時点で2,191業者、2025年3月時点で2,808業者、そして2026年3月時点では4,095業者にまで増えました。わずか2年で倍近くになっています。新しく参入した業者が増える中で、法令への理解が十分でないまま業務を始めているケースがあることがうかがえます。
指摘が多かった項目
是正指導の件数が多かった項目は次のとおりです。
帳簿の備付け等義務違反:18件
管理を受託した物件ごとに、業務の内容などを記録した帳簿を作成し、保存する義務です。3年連続で上位に入っている項目です。
住宅宿泊事業者への定期報告義務違反:16件
管理業者が、委託を受けたオーナーに対して、管理業務の実施状況を定期的に報告する義務です。オーナーが自治体に行う2ヶ月ごとの報告(75記事)とは別のもので、管理業者からオーナーへの報告を指します。
証明書の携帯等義務違反:16件
管理業務に従事する人が、従業者証明書を携帯し、求められたときに提示する義務です。清掃スタッフなど、現場に入る人にも関わります。
管理受託契約の締結前の書面の交付義務違反:14件
契約を結ぶ前に、管理業務の内容や報酬などを記した書面をオーナーに渡して説明する義務です。
標識の掲示義務違反:14件
営業所や事務所に、登録業者であることを示す標識を掲げる義務です。
管理受託契約の締結時の書面の交付義務違反:11件
契約を結んだときに、契約内容を記した書面をオーナーに渡す義務です。
このほか、変更があったときの届出義務違反が8件、管理業務の実施義務違反が6件(そのうち、周辺の生活環境への悪影響を防ぐための説明に関するものが2件)、再委託の禁止に関するものが2件ありました。

注目すべき「増えている違反」
今回の結果で特に注目したいのは、前年度より増えている項目です。
帳簿・定期報告・証明書の3項目は依然として上位ですが、件数は前年度より減っています。業界全体で改善が進みつつあることの表れでしょう。
一方で、契約前の書面交付義務違反は前年度の11件から14件に、契約時の書面交付義務違反は4件から11件へと大きく増えました。さらに、前年度は指摘がなかった「再委託の禁止」に関する違反も2件確認されています。
これは、オーナーと管理業者の「契約の入り口」に問題が増えていることを示しています。新規参入の増加にともなって、契約の手続きが簡略化されていたり、口約束やメールのやり取りだけで業務を始めていたりするケースがあるのかもしれません。契約の書面は、オーナーにとって「何を任せ、いくら払い、何をしてもらえるのか」を確かめる唯一の手がかりです。ここが曖昧なまま始まった委託は、トラブルの原因になります。

再委託の禁止とは、管理業務の全部を他の業者に丸ごと任せてはいけない、というルールです。清掃などの一部を専門業者に任せることはできますが、管理業務全体に責任を持つのは、あくまで登録した管理業者です。
国が今後重点を置くポイント
国土交通省は今後、「宿泊者による迷惑行為が起きているのに、事業者による迅速な対応が行われない」といった、管理が適切に行われていない民泊について、特に重点的に立入検査などを通じた指導を行う方針を示しています。
これは、2026年7月に示された自治体による「ゼロ日規制」容認の流れとも重なります。騒音やゴミなどの近隣トラブルに、管理業者が素早く対応できているか。書類の整備だけでなく、実際の対応の質が問われる時代になってきています。
管理業者が自ら点検したいポイント
住宅宿泊管理業者として、自社の体制を点検するためのチェックリストを整理しました。私たち自身も、この項目で定期的に確認しています。
□ 受託物件ごとの帳簿を作成し、必要な期間保存しているか
□ 委託を受けたオーナーに、業務の実施状況を定期的に書面などで報告しているか
□ 現場に入るスタッフ全員が従業者証明書を携帯しているか
□ 契約前に、重要事項を記した書面を渡して説明しているか
□ 契約時に、契約内容を記した書面を渡しているか
□ 事務所に登録業者の標識を掲げているか
□ 役員や事務所の所在地などに変更があったとき、届出をしているか
□ 管理業務の全部を他社に再委託していないか
□ 宿泊者に、騒音やゴミなど周辺への配慮について説明しているか
□ 苦情に対して、速やかに対応できる体制があるか
オーナーが委託先を選ぶときの確認ポイント
これから管理業者に委託するオーナー、すでに委託しているオーナーにとっても、この結果は委託先を見極める材料になります。

①登録業者かどうかを確認する
国土交通省の登録を受けた住宅宿泊管理業者かどうかを確認しましょう。登録番号を示してもらい、国のホームページで照会することもできます。
②契約前に書面での説明があるか
契約前に、業務の範囲、報酬、苦情対応の方法などを書面で説明してもらえるかを確認します。説明がないまま契約を急かされる場合は注意が必要です。
③契約書がきちんと交付されるか
契約を結んだら、契約内容を記した書面を必ず受け取りましょう。どこまでが業務の範囲かを、後から確かめられるようにしておくことが大切です。
④定期的な報告があるか
委託した後、管理業務の状況について定期的な報告があるかを確認します。報告の頻度や内容は、契約の段階で取り決めておくと安心です。
⑤トラブルへの対応体制はどうか
近隣からの苦情や緊急時に、誰が、どれくらいの時間で対応するのか。夜間や休日の連絡体制も含めて確認しましょう。
⑥管理業務を丸投げしていないか
清掃などの一部を外部に任せるのは問題ありませんが、管理業務全体を他社に丸ごと任せている業者は、法令に反するおそれがあります。誰が責任を持って管理しているのかを確認しましょう。
まとめ:書類の整備は「信頼の土台」
国土交通省の立入検査では、44業者中35業者に是正指導が行われ、特に契約時の書面交付に関する違反が増えていることが分かりました。管理業者の数が急増する中で、法令を守り、オーナーに対して誠実に説明し、近隣トラブルに迅速に対応できる業者かどうかが、これまで以上に問われています。
書類の整備は、面倒な事務作業に見えるかもしれません。しかしそれは、オーナーとの信頼関係、そして地域との信頼関係を支える土台です。
㈱SATは住宅宿泊管理業者として、契約前の丁寧な説明と書面の交付、定期的な業務報告、近隣トラブルへの迅速な対応を大切にしています。委託先選びに迷っている方、今の委託内容に不安がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
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